新しい法律はいつから適用され、既存の規約はどうなるのでしょうか?

区分所有法の改正は、令和7年(2025年)4月1日に施行されます。この施行日の時点で、管理組合が持っている既存の規約のうち、新しい法律の「強行規定(必ず守らなければならないルール)」に抵触する部分は、自動的に無効となります。規約全体が無効になるわけではありませんが、混乱を避けるために速やかな規約改正が推奨されています。

これまでの「議決権総数の4分の3以上」という決議要件は変わりますか?

はい、変わります。新法では、管理の円滑化を目的として、多くの特別決議において要件が「出席者の議決権の各4分の3以上」といった形に、出席者をベースとするルールへと緩和されます。そのため、規約に「組合員総数の~」と固定されている部分は無効となり、新法に合わせた読み替えや規約の変更が必要になります。

定足数の「半数以上」と「過半数」にはどのような違いがありますか?

実務上、非常に重要な違いがあります。従来の規約では定足数を「半数以上(50%以上)」としていることが多いですが、新法の特別決議事項における定足数は「区分所有者および議決権の各過半数(51%以上)」と規定されています。新法は要件を「緩和(緩くすること)」を許さないため、従来の「半数以上」という緩い規定は無効となり、より厳しい「過半数」が適用されることになります。

緊急時に招集通知を「3日前」に短縮している規定は維持できますか?

いいえ、維持できません。新法では、規約で招集通知期間を1週間より短く設定することはできなくなりました。従来の規約に「緊急時は3日前まで短縮できる」といった規定があっても、法改正後はその部分は無効となり、最短でも1週間前の通知が必要になります。

招集通知に記載する「目的」は、これまで通り「第〇号議案:〇〇の件」だけで十分ですか?

不十分になる可能性が高いです。新法では、すべての決議において、出席者が適切に判断できるよう「議案の要領(具体的な内容)」をすべて示さなければならないというルールが追加されました。規約変更であれば変更案の要旨、工事であればその内容や費用など、単なる名称だけでなく具体的な中身を通知に盛り込む必要があります。

総会の途中で退席者が出た場合、議決権の計算はどうなりますか?

新しい「出席者ベース」のルールでは、議案ごとに分母(出席者数)が変わるという事態が起こり得ます。例えば、第1号議案には出席していた人が、第2号議案の前に退席した場合、第2号議案の決議における分母からはその人が除外されます。役員は、議案ごとの出席状況を正確に把握して集計する必要があります。

長年連絡が取れない所有者がいて決議が困難な場合、どうすればよいですか?

裁判所から「除外決定」を受けることで対応可能です。登記簿上の住所などを徹底的に調査しても所在が不明であると認められた場合、その所有者を議決権の計算(分母)から除外して決議を行うことができます。ただし、この決定を得るためには、単に連絡がつかないだけでなく、相当な追跡調査を尽くしたことを裁判所に証明しなければなりません。

海外に住んでいる所有者への連絡や議決権行使はどうなりますか?

新制度として「国内管理人」を選任できるようになります。国外に住む区分所有者は、国内に住所を持つ代理人を立てることができ、その国内管理人が本人に代わって招集通知を受け取ったり、議決権を行使したりすることが可能になります。

共用部分の欠陥で保険金を請求する場合、転売された部屋の元所有者の承諾は必要ですか?

新しい標準管理規約案(第24条の2)では、管理組合が現所有者と元所有者の両方の代理人として、一括して損害賠償や保険金の請求を行えるよう規定されています。また、受け取ったお金を個々の所有者に分配せず、修繕積立金として建物の復旧に充てることも規約で明確に定めることができるようになります。

令和7年3月に発送した通知で、4月の総会を旧ルールのまま行えますか?

はい、可能です。経過措置として、「法律の施行日(4月1日)より前に招集通知が発送された集会」については、たとえ開催日が4月1日以降であっても、従来の法律(旧法)が適用されます。4月1日以降に通知を発送する総会からは、完全に新しい法律のルールに従う必要があります。

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